真っ赤な大根。ウチの畑で育った紅園中長大根という品種で、主にぬか漬けにして食べています。小ぶりで身のしっかりした歯ごたえのあるおいしい大根。
一般的な白く大きい大根は、知人にいただくか購入して煮物などにも使いますが、甘みのある首の方は、毎夜の食卓に上がる大根おろしになります。
春の七草では、大根が「すずしろ」と呼ばれます。消化酵素を多く持つ、体にも有益な作用が言われる野菜です。わたしはもともと食べものの消化力が低いようなのですが、このごろはこの大根おろしのおかげか、わりと改善されている印象です。
大根が日本で一般に食べられるようになったのは江戸時代になってからだそうで、他に野菜の少ない冬場の保存食としても、漬物や切り干しなどに加工されさまざまに食べられてきました。江戸近郊の板橋、練馬、浦和、三浦半島などでは、特産品として栽培され、いまでも知られています。
江戸小紋の柄に「大根におろし金」というのがあります。
どのような柄かここには表示できませんので、きもの屋さんのHPでご覧ください。
https://kawanoya.co.jp/goods_info/rare/r1347.html
そこの説明によると、大根おろしの謂われで、おろしを食べれば「食べ物にあたらない」つまり「難事にあたらない」。また「大根役者を役から下ろす」→「役を落とす」→「厄落とし」の謂われだそう。江戸文化はこんな洒落れが大好き文化です。
「大根役者」の語源については諸説あり、「食あたりしない」から「当たらない役者」。大根おろしのつながりで「下手な役者の役(舞台)から下ろす」、大根の白いことと「下手な役者の素人(しろうと)同然」や「白粉(おしろい)ばかりの下手な役者」を掛けたとかさまざま。古い歌舞伎界では、根から葉まで捨てるところのない大根同様「何をやらせても使える役者」と褒め言葉だった。それが時間とともに逆転したとの説も。
さて、今回のレシピはこの大根おろしを使った「大根餅」にしましょう。 「大根餅」は「蘿蔔糕(ローポーガオ)」という中華料理の点心の一つです。「蘿蔔」は大根の漢名、日本では「すずしろ」もこの字をあてます。本場では、大根を千切りにして、干しエビや干し椎茸を細かにして加え、うるち米の粉(上新粉)で練ったものを蒸し器にかけて作ります。蒸しあがったものを切って油で焼いたものもあります。
ここでは簡単に大根おろしに上新粉(米粉)を加え、手元にあったちりめんじゃこと長ネギのみじん切りを入れて、フライパンで焼いてみました。使ったのは画像の赤い大根ではなく、普通の白い太い大根です。
「大根餅」
・大根をおろし、ザルに上げ、水気は落とす。落ちた汁はとっておき、粉を入れるときの調整用にする。
・手で平らな餅状にできる程度まで上新粉(米粉)を加え、よく練る。
・ちりめんじゃこ、刻んだ長ネギを加える。(好みのものでかまいません)
・フライパンを熱くして、多めのごま油を入れ、手で薄く平らにした生地を並べて焼く。片面にある程度焼き色が付くまでじっくり待って、さらに裏面を焼く。
じゃこの塩味しか付いていません。食べるときに焼き餃子のつけだれ同様の酢醤油とラー油で。熱いうちにどうぞ。
七福神の一つとして知られる神に、大黒天(大黒さま)がいる。元はヒンドゥー教のシヴァ神のことで、のちに仏教の守護神として日本に伝えられました。
日本では、「家庭円満」、「五穀豊穣」、「商売繁盛」の神という性格を持ち、「縁結び」「夫婦和合」「子孫繁栄」のご利益もあるという。そんなこともあり、縁起物の野菜として、少しばかりなまめかしい形の二股の大根が供物としてあげられたりします。
葛飾北斎の絵にも「大黒に二股大根図」があります。(島根県立美術館)
https://shimane-art-museum-ukiyoe.jp/life/life-katsushikahokusai/katsushikahokusai/h58-01.html
また、同じ江戸期の絵には、「大根にねずみ図」という題材もよく見られます。大黒天の使いがねずみとされていましたから、同じ意味合いを持っているわけです。
このねずみは、シロネズミ、別名「大黒鼠」という種類。大黒鼠→だいこ食うねずみ(大根食う鼠)という洒落れで出来ています。
また、大根の料理で「ふろふき大根」があります。これは「不老富貴大根」で、これまためでたい洒落れ。
大根は、洒落れが大好きな江戸人に何かと気に入られた野菜だったようです。
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