春の山菜のひとつウド。漢字にすると「独活」で難読漢字としてよく出てきます(なぜこう書くかは不明)。ウドは日本原産で、中国、朝鮮、千島列島などにも自生しています。
夏の終わりごろ近くの山に行くと、丸く小さな白い花を咲かせた「ウドの大木」とは言えぬものの、人の背丈より大きく育ったウドの木、いやウドは多年草だそうですから草ですね、を見ることができます。その年、育ったウドは冬には枯れ、春に地面からの芽生えを山菜として食します。
食用では、白く育てた「白ウド」と緑の「山ウド」があり、地方によって栽培の仕方にも違いがあり見た目が違っています。野生の「山ウド」もありますが、どれも植物の種類としては同じものです。食べてみるとそれぞれ味や風味はだいぶ違います。
天ぷらや酢味噌和え、煮物などに調理して、独特の風味を味わいます。
よく酢味噌和えにしていただきます。イカや貝類、鶏肉などといっしょに和えることも。今回のレシピでは、山形でよく食べられるウドとニシンの煮物にしました。わたしの子どものころもウドといえばニシンといっしょに煮た料理がよく出たものでした。
<ウドと身欠ニシンの煮物>
- ・ウドはピーラーで皮をむき、切って酢水または水に数分浸しアク抜きをしておきます。柔らかい部分の皮はむかなくてかまいません。
- ・身欠ニシンは熱いお湯をかけて戻し、水でウロコなどをきれいにして食べやすい大きさに切ります。
- ・今回は手元にあったコンニャクと生シイタケも入れました。コンニャクは切って下茹でしアク抜きをしておきます。
- ・出汁にみりんとお酒、醤油を加え、煮立ったらニシン、コンニャクを入れ少し煮ます。ニシンのアクが出れば取ります。
- ・ウド、シイタケなども入れ10分ほど弱火で煮ます。煮汁はそう多くなくていいので、はじめの出汁も調整して。 ニシンを一度鍋から取り出し、ウドが煮えてから、最後にシイタケと一緒にニシンを戻してもいいでしょう。ウドとニシンだけの料理が基本です。
- ・味見と調味をします。蓋をしてしばらく置けば味がしみていきます。
さて、ウドの料理というと、まずはアク抜きのことが言われます。ウドなどの山菜はもとより、多くの野菜でその調理の際の「アク」処理のことは無視できません。
上のレシピでは、あえてそれぞれの調理に、普段より丁寧なアク抜きの工程を入れました。では、この「アク」とはどのようなもので、アク抜きは本当に必要なものなのでしょうか。
「アク」は漢字で灰汁と書きますが、これは草木など植物を燃やしてできた灰を水に入れた、その上澄み液のことです。わたしの育ったここ山形では、木や草の灰、火鉢の灰などのことを少し訛って「アグ」と言っていました。いまも通じるかな。
灰汁はアルカリ性で、洗剤としても染色にも使いますし、世界各地の伝統的な料理でもよく使われます。
「あくまき」などと言われる日本各地のちまきは灰汁で煮ます。ドイツのプレッツェルは焼く前に灰汁にくぐらせます。沖縄そばは、日本のラーメンなどに使われる麺がちょっと黄色っぽくなるカン水の代わりに、小麦粉に灰汁を加えて作ります。
ここでの「アク」はこの灰汁ではなく、食材に含まれる成分としての「アク」です。調理の際に言われる「アク」には、肉や魚を煮ているときに浮いてくる「アク」と、野菜を調理する際の「アク」があります。
肉や魚の「アク」は、主に血液などに含まれる蛋白質が浮き出てきたものです。そのまま煮込むと煮汁が濁ってしまうので、日本料理などでは取り除いて澄んだ汁と雑味のない味にするのが一般的です。世界の料理文化や料理の種類、好みによってどうするかはそれぞれです。
やっと本題の野菜を調理する際の「アク」です。
その植物によって「アク」の成分はさまざまですが、わが身を動物や虫に食べられまいとして身につけた物質です。
それは食べる人間にとって、おなかを壊したりエグ味で口にできないなど害になることもあれば、癖のある風味としてかえって好まれたりもします。
ゴボウやナスなどは、「アク」で色が黒ずんで見た目が悪くなるの防ぐため酢水に浸けます。この「アク」はポリフェノールの一種で、糖尿病予防にもなるというアク抜きをしなくてもよいもののようです。
今回のウドの「アク」も同じもので、じつはアク抜きは必要ない食材ということです。あとは料理の見た目と風味の強弱の変化をどう判断するかということでしょう。煮物も色は黒ずんでおいしくなさそうになります。
レンコンもその物質は違いますが、同様の理由でアク抜きが必要なわけではありません。
片や必ずアク抜きが必要な食材というと、一般的なものではワラビ、フキがあげられます。その「アク」成分の種類は違いますが、どちらも発癌性物質といわれます。この「アク」は茹でることで抜くことができます。(人がアク抜きをせずに大量に食べることはないので、そのような症例の報告は無いようです)
フキの花芽、フキノトウもおいしいものですが、成長したフキのような強烈なアクではありません。でも根の部分にエグ味の元となる「アク」が含まれていますから、根を取り除き、また水に浸けることで変色や苦味の元の「アク」が軽減されます。
タケノコは種類にもよりますが、土から掘り出して時間が経つと、だんだん「アク」物質が増えエグ味が強くなってきます。おいしく食べるには採ったら早めにアク抜きすることが肝心です。
ホウレンソウも、茹でて水に浸しアクを抜くのが普通です。ホウレンソウの「アク」は、いってみれば食べ物のクセというか独特な味わいの元になっているシュウ酸で、体質にもよるでしょうが摂りすぎると尿路結石を生じさせる原因になります。調理は茹でることで、水溶性のシュウ酸はその量が軽減されます。
シュウ酸は、含有量が多いホウレンソウなどが代表的なものですが、そのほかにも多くの食材に含まれる物質です。ホウレンソウより少なくとも茹でずに生で食べるキャベツ、レタスなども同等の量のシュウ酸を摂ることとなるかもしれません。ほかにもネギ、里芋、コンニャク、バナナ、パセリ、お茶、ココアにチョコレート、ゴマ、ナッツ類などもシュウ酸の多い食品です。アク抜きのしにくいものも多いです。
以前わたしも尿路結石で激痛を味わいました。ほんとうにそれが原因なのか不明ですが、上にあげた食べ物類はほとんどが好物ですからね。おいしいからといって好物を一度にたくさん食べるようなことは、この「アク」に限らず気をつけたほうがいいようです。
そう神経質にそれぞれの野菜のアク抜きをしているわけでありませんし、せっかくの味わいも消えてはしようがありません。「アク」の違いを知って、おいしいと感じられるようアク抜きをして調理したいものです。
◇
日本が壊されていきます。いまや、政府や日本をリードする政治家、エリート連中、主要メディアのほとんどが「悪」です。どのように閣議決定、法改正が行われ、無惨な日本になってしまっていることか。書き上げたらきりがありません。国民のお金は、戦争で儲ける連中のところへ吸いとられていきます。戦争参加にもまっしぐらです。
先日、出版されたばかりの経済アナリスト・森永卓郎『書いてはいけない — 日本経済墜落の真相』(三五館シンンャ)を読みました。日本の重大なタブーが書かれています。書かれている衝撃的な内容を真実と捉えるかはそれぞれでしょうが、これまでこういったことに触れることのなかった人には、日々社会で起こっている事象、それを伝える報道というものに対しての見え方も変わると思います。おすすめです。
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