そら豆は「空豆」。さやが枝から空に向かってつくからです。中国名の「蚕豆」も使われます。さやが繭に似ているからですね。豆の形がそのお面に似ているので「おたふく豆」。ほかにもさまざまに呼び名があります。よく見る、油で揚げた豆菓子は「いかり豆」(錨豆)になります。
日本国内の生産量は少ないですが、世界各地で古くから栽培されてきました。石器時代に栽培された形跡もあるそうで、古代地中海文明の主要な食べ物といわれます。豆は大きいですし、栽培もそう難しくないので、飢饉対策としても重宝されてきたようです。
豆が、もちろんそら豆も好きで、何年か前に畑にそら豆を植えて育てたことがあります。あんな大きなさやと豆ですから、さぞ背も高く大きく育つのだろうと思っていたところ、意外にも低かった。子どものころひとりの頭の中では、「ジャックと豆の木」のお話の豆は、「空豆」っていうし、きっとそら豆みたいな種だろうなとイメージしていたので、少しばかりがっかりしたのです。
とってすぐ食べるそら豆はおいしい。塩で茹でてそのままももちろんおいしいですが、そら豆ご飯に。
このごろは自分で植えなくなりましたが、春から初夏にかけそら豆が出回ると買って、必ずつくるのが「そら豆のリゾット」です。
「そら豆のリゾット」
そら豆は先に茹でておきます。やや硬めに。
茹でた大きいままの豆と小さく刻んだ豆の2つ用意しておきます。刻んだ豆で米に味がなじむように、大きな豆で豆そのものを味わえるようにしたいので。
米をスープで炊いている途中でそら豆を入れます。最後にバター少しとパルメジャーノをたっぷり入れます。
(リゾットのもう少し詳しい説明は、「カブ」のページをご覧ください)
そら豆はもちろん豆です。豆ということは種(たね)です。
以前「大豆」のページで「種子法」のことを書きました。こんどは「種苗法」の改訂が、問題視されるなか3月3日閣議決定され、今国会で可決されようとしています。
農家が、自家増殖、自分で作物の種を採って増やしてはいけない。違反すれば10年以下の懲役か1000万円(法人は3億円)以下の罰金を科す、というものです。家庭菜園は対象外ですが、それでも採取した種をひとに売ったり譲渡してはいけません。
作物や果樹や花などの種苗が海外に流出するのを防ぎ、育成権者の権利を保護をする目的だということです。
農産物の品種には種苗法で登録された「登録品種」と「一般品種」があって、育成権者の許諾なしに自家増殖することが禁止されるのは「登録品種」についてです。「一般品種」はこれまで通り採種は可能です。在来種など固定種といわれる種類は「一般品種」になります。
これまでも「登録品種」の一部は自家増殖禁止ですが、改訂後は「登録品種」すべてが対象になり、今後桁違いにその数は多くなります。最近になって、この「登録品種」の作物が続々と増やされています。
海外でも同様の流れがあって、想像するに、農家など生産者よりも企業を守るための方策として出てきたんだろうな、と思いますね。
今回の改訂案では、育成者権が譲渡されても、農家などとの許諾関係は維持されたままになります。いま日本の会社や都道府県が持っている育成者権だって、これからは簡単に多国籍企業に受け渡されることも想像できます。
このような法律やさまざまな理由によって、世界の農業は大きく変わりつつあります。農業が変わるということは、作物が食料が食べ物が変わることです。そこには、つくる人のことや食卓で食べる人のことはあまり考えていないように感じます。
今年2020年、新型コロナウイルスによるパンデミックが発生。世界中が感染症に怯え混乱しています。食料はこれまでのように生産していけるでしょうか。流通は。こんな時だからこそ、あらためて食料のこと食べ物のことを考えたいと思います。
───2011年3月11日から9年が経った。日本、大丈夫か?
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